最近のスキー/スノボは、日帰りが主流かも知れませんが、「泊り」のスキー/スノボってワクワクしますよね。 思いっきり滑った後、宿に帰って温泉に入って美味しい晩御飯でみたされて、ワイワイ喋りながら時間をつぶして後はすべてを忘れて眠るだけ。あの至福の時間。宿の古い新しいに関係なく、温かいホスピタリティにも心がなごみます。 ところが、です。ムラーヌスは、そんな期待を裏切られる、残念な体験を何度かしてきました。 今ではこんな悲惨な宿はほぼないと思いますが、笑い話として聞いてやってください。
■悲惨度 ★★★★★ 洗髪禁止って、北アルプスの山小屋かよっ! (G県MエリアHスキー場:民宿)
Mエリアと言えは、首都圏からも近いながらも豪雪地帯とされ、人気のエリア。この中でも規模はエリア最大級と言われたHスキー場。当時は、まだスキー専用ゲレンデだった頃の話です。当時は、週末の民宿も予約がいっぱいだったのですが、なんとか予約がとれた民宿Aに、カップル2組で行きました。
初日。1日フルに滑って疲れた体を癒そうと、まずはお風呂へ直行。
ところが、風呂場には大きな張り紙が・・
「お風呂での洗髪は禁止です。水道水の節約のためにご遠慮ください」
なんと、頭洗えないのか?1日じゅう運動して汗かいた頭を洗えないなんてアリか? それはないでしょ・・。
たしかにこちらの宿は、スキー場周辺の民宿の中で一番標高が高い位置にあり、おそらく水道を引くのも大変なのでしょう。事情はよーくわかります。とは言え、いくらなんでも頭を洗えないとは。
これはつらい。女性陣はもっとつらいはず。南アルプスや北アルプスの登山道の山小屋ならいざ知らす。曲がりなりにも、スキー場の宿なんですから。そこは勘弁してほしい。
なのでとりあえず、限りなく控えめに水量をおさえて頭を洗わせて頂きました。シャンプーも、普通なら2度洗いしていたところを1回におさえたり、シャワーもなるべくセーブしながら。で、あがった後の脱衣所ではしっかりと頭を拭き、足早に部屋に戻りました。お宿のご主人たちに会わないように、ね。
風呂上り、女性陣の頭の髪もしっかり濡れていましたね。
その後夕食に行くまで、頑張ってさらに髪を乾かしたことは言うまでもありません。
■ 悲惨度★★★★ 夕飯おかずは、からあげ4個とキャベツ千切り&福神漬け、これはないでしょ。 (N県S平スキー場:ホテル)
10年くらい前になります、小学生の子供達をつれて家族3組でお泊りスキーにいったときの話。
S平スキー場は、スキーツアーや合宿などでも人気で、スキーバスツアーの客を大量に泊めるようなホテルがたくさんあるエリアです。私たちも、ツアーのマイカープランでその中の1つを選びました。価格は、選べる2コースがあり、安い値段のコースにしました。そんなに欲張って高いコースを選ぶまでもないか、と友人同士で話あって決めたのです。
ところがそれが後で後悔することに。
1日滑ってホテルに戻り、さぁ、大人も子供も待ちにまった夕食タイム! ということで大食堂へ。そこで私たちを待っていたのはなんと、「お皿が1つと伏せられた茶碗2つ」が人数分並んだ殺風景なテーブルでした。お皿には「からあげが4~5個」「キャベツの千切り」がのってるだけ。テーブルの中央には、福神漬け(茶色の)が大量に入ったケースが1つ。 まさか、これだけじゃないよね?。まだ料理が来るんだよね? そう思いながら周りを見渡すと、私たちと同じように安いコースを頼んだお客も多かったらしく、 戸惑う家族連れや、なかには絶句して、ひきつった表情で席につく気まずそうなカップル・・。 配膳作業中のバイト君にたずねると、「はい、以上になります、ごはんはおかわりでご自由にどうぞ」と。今夜の夕食、以上! が確定した瞬間でした。 呆然自失。
確かにね、安かろう悪かろう、はその通りなんですが。いくらお安いコースとは言え、ふつうの民宿でももっとちゃんとした品数は出るような価格帯です。豪勢な食事は期待してませんでしたが、「からあげ4個とキャベツの千切り」とは。ほか弁じゃないですか。想像をはるかに超えた寂しさでした。 宿の選定をしたのは我が家だったので、いっしょにきた友達ファミリーに申し訳ない気持ちでいっぱい。何より残念だったのは、子供達の強張った、なんとも言えない表情。なかには「なんだよぉ!」と小さな怒りの声を配膳係の背中にぶつけてる子もいました・・。家族連れグループでのスキーというのは、スキー自体より晩御飯の時間がむしろ楽しいはずなのに。 今でも申し訳ない気持ちと、あのときの惨めな空気がよみがえってきます。
他のエピソードは今となっては笑ってすませられるのですが、この件に関しては、子供たちのあの残念な顔を思い出すと笑えません。ちなみにこの宿、各階のエレベータフロアにカップラーメンの自販機がおいてありました。夜食に買って食べたのは言うまでもありません。
■悲惨度★★ イシイのハンバーグじゃん、これ! (G県 Mエリア Wスキー場:ペンション)
これも夕食ネタです。まずはイシイ食品さんにお断りしなければなりません。決してレトルト食品を貶めるつもりはございません。
ただ、スキーにいったお宿で、しかもまがりなりにもペンションという触れ込みで、ふつうの民宿よりお高い値段で止まる以上、夕飯は少しは期待しますよね。ステーキや洋食のフルコースをとまでは申しませんよ。でも、それなりにご飯で差別化をしてくるよね、と期待して行くわけですよ。ところが、です・・・。
そのペンション、夕食卓の目の前にならんだのは、限りなく一般家庭の週末の食卓にありそうなメニュー。
寂しいとは言いませんよ、少なくともから揚げ4個より、はるかにマシ。でも、メインはハンバーグだけ。お魚と肉のメイン2ディッシュなんて全然ないし、もちろん、鍋とかお刺身とか、そんなのもありません。
しかもほぼレトルトに近い食感。デミグラソースもいかにもレトルトのデミグラ。
うーむ・・。
贅沢を言っちゃいけないかも知れませんけど、これまで同じ値段でこれよりはるかに手の込んだ晩御飯のお宿を何度も体験してきました。また、この値段より少なくとも1500円~2000円安くてもはるかに充実したライナップを出す民宿も多々ありました。というか寧ろ民宿の場合、大きなハズレがない。今まで止まった民宿では、どんな価格帯でもラインアップはこうでした。⇒ご飯、味噌汁、つけもの、茶わん蒸しor代替品の小鉢、刺身、揚げ物or/and煮物、鍋、以上ミニマム6品。 ところがこちらのペンションは、ご飯、スープ、ほぼレトルトのハンバーグがメインディッシュであとはプラスアルファ、と、品数も質も寂しい限り。こんなレベルでも、ほぼ満室なんですよね。当時はまだバブルの名残があったからでしょうか。 申しわけないけど、二度と行かないですね。オーナーは決して悪い人ではない感じでしたが。それがなんとも逆に、残念。というかなんか哀しいですね。
■ 悲惨度★ 襖あけたらお隣さん? 古い民宿だからしょうがないとは言え・・。 (N県 KSRスキー場:民宿)
KSRスキー場ってどこやねん? と言われそうなので、申し上げておきますと、大きなロープウェイがあるスキー場です。今ではロープウェイでの標高と絶景を活かして、夏場の山頂からの雲海を目玉にしているスキー場です。やはりスキーバスが多く直行し、ツアー客向けのホテルもたくさんありますが、本エピソードは、マイカープランで泊まった古い民宿でのお話です。(なのでスキー場やホテルにはまったく関係ございません)
さて、その民宿に、仲の良い男3人女子2名のグループで宿泊。気心の知れた仲間なので男女同部屋で部屋をとりました。 とは言え、広めの部屋をお願いしたのですが、入室してみて、いや、確かに広い、「8畳はラクにあるよね」と。 「ま、あの値段にしてはいいじゃん」 「アンタがとるといつもこんな宿だよね」 と茶化しあっていたところ・・、 「お、ここにもまだ奥の部屋あるじゃん」、 見ると部屋の壁は襖になってるのですよ。まだ奥があるのかなと思って開けてみると、襖の向こうはまたこちらより一回りは広い別のお部屋が登場。 「あれ、もしかして隣の部屋なの? それとも、まさかこっちもウチらが使っていいのかね」 というわけで お宿のおば様にたずねたところ、そちらは「別のお客さんの部屋」だとのこと。 それを聞いた同僚たち、 「えっ、この隣に別のお客さん来るの?」 「襖あけたら別の客? そこで寝るの? あまり大声で話できないじゃん」 「修学旅行か!」 「もしやばい客だったらどーするよ」 「いくらなんでも襖超しって、それはないんじゃないか」 「お客はうちらだけなんじゃない?」 「いや、そのうち来るってことじゃない?」 と、あきれるやら、笑うやら。そして少々戸惑う女性陣。 それにしても、そもそも宿泊業なんだから個室が沢山ないと商売にならないはず。それとも、この宿って常に襖で仕切られた部屋にお客を泊めてたのかな。 ま、部屋を変えてというのもなんだから、ひとまず我慢。お隣さんが入ってきたら、そのときに部屋を変えてもらえるかどうか、それはその時に考えよう、ということになり、「とりあえず風呂入ってご飯だべようよ」となりました。でも、お風呂も交代で行くことに。 そして夕食が終わり、部屋に戻ると早くも20時。お隣さんは来ておらず、どうやら今夜は我々だけのようでひと安心。 いつものように迷惑にならない程度にバカ話で夜は更け、いつのまにか眠りについたのでした。まぁ、本件に関しては悲惨というケースではないのですが、こんな民宿も実際にあるのだな、というお話でした。 ちなみに、ご飯は悪くなかったですよ。宿の方の対応も好意的でした。
まとめ ~スキー宿って、最後は”利他心”が大事?~
スキー宿に求めるもの・・・ごはん、清潔さ、ホスピタリティ。多くの方はこうじゃないでしょうか。今回思ったことは、 宿を貸す商売というのは、そもそも「他人をもてなそう」とか「おいしいごはんを食べてもらおう」という気持ちが何より大事なのではないか、ということです。もちろんビジネスなので儲けは大事なのですが、喜んでもらおう、という気持ちがないままビジネスにしてしまうと先の夕食のホテルのようになってしまうのだろうな、と。 宿泊業ってほんとうに利他心のある人のための商売なんでしょうね。 (そういう意味では、利他の精神が希薄な自分なんぞ、まったく無理なことで、宿を経営する方にはリスペクトしかないです) そういうマインドを持ったオーナーの宿がいつも繁盛できるよう、スキースノボ業界も元気であって欲しいものです。 また、大半のスキー宿の場合、一度キリの宿泊が多いと思います。その宿に満足したらまた行くか、というと、いろんなスキー場にいきたい方が強いからです。でも、「あの宿は良かったなあ」という思いはずっと残るんですよね。で、今なら口コミに書き込めたりする。だから、一度キリの宿であったとしても、「良かったな」の気持ちは、お宿の方にしっかりと伝えてあげたいなと思まいます。
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